恵文社 文芸部

恵文社一乗寺店が提案する、文学同人誌/リトルプレスの即売イベント。 草の根で活動する詩人や作家らによる、自由で風通しの良い作品発表の場です。

おすすめの本

モランディは語りかけない

先月開催しました文芸部打ち上げの二次会で、言葉をめぐって言葉をたたかわせる不毛な議論がありました。一乗寺駅すぐのインキョカフェさんで、時刻は午前零時をとうに過ぎ、十二分に酒の酔いのまわった一座の命題は「絵画は言葉か?」。友人のNは、絵は言…

フランス的思考

詩人ロートレアモン研究者で、平成の邦訳全集を手がけた著者が贈る、フランス近代の知と文学のエッセンスをつめこんだ読み物がこちら。タイトルは誤植ではなく、フランス思想ならぬ「思考」である点に注目していただきたい。いったいに「○○的」(○○には国名…

さようなら、ギャングたち

去年の年末から今年の年始にかけて、恵文社一乗寺店ギャラリー・アンフェールにて開催された「冬の大古本市」。今回の個人的な収穫は、「書肆 中松」の出品による、高橋源一郎のデビュー長編『さようなら、ギャングたち』でした。初版・オビ付で¥1000-也。安…

京都

新年、初もうでは下鴨神社と決めています。大学へあがって、この街へ住みはじめてからの恒例行事。学生時代、大晦日は年をまたいで居酒屋のアルバイト、深夜2時まで働いて、下宿への帰り道にふらりとお参りしたのがきっかけです。いまは同じ店のお客として年…

「どう生きるか」の兄弟本

「君たちはどう生きるか」 この小説らしからぬ題をもった小説は今からおよそ八十年前、哲学畑出身の図書館員であった吉野源三郎が、主任をあずかる年少者のための読み物叢書の締めくくりとして上梓しました。ちょうど日中戦争の発端となる盧溝橋事件が勃発し…

海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録 (平野義昌 / 苦楽堂)

すっきりした清々しいカバーの白さに目がひかれて手に取ってしまいます。水色のオビとの組み合わせはじつに涼しげで、背の部分に記された「今、本屋の現場で働く仲間たちに」の殺し文句。また、奥付を確認しようと巻末のページをめくってびっくり! 本文・見…